~過去への恋文~ Date: Sat, 13 Jan 2001 16:04:18 +0900
わたしにとって、とてもたいせつな意味を持つ日付。
ミレニアムに沸き立っていた、あの日の心の高ぶりを、まるで昨日のことのように思い出すことができる。
その日を境に始まった5年に渡るやり取りのうち、いま手元に残っているメールは516通。
1と0に変換された、デジタルデータのファイルサイズは1.32MB。
――あれだけのやり取りを交わした記録が、たったフロッピーディスク一枚分にも満たないなんて。
わたしの記憶に占める「あなた」の大きさと、出力された「データ」の小ささ。
そのアンバランスさに、脳が著しく混乱してしまう。
まるで肉体を荼毘に付した後、残った骨を拾い集めた後の虚無感のようで。
――胸が、胸の奥が、とても苦しい。
ドキドキやズキズキを通り越して、ぎゅうっと心臓を握りつぶされるかのようで。
――言葉にならない。
心の底から辛いとき、人は言葉が出ないのだと言う。
それでもわたしは、あえて心の奥底の、さらにその下の深淵から湧き上がる、むせ返るような今の気持ちを言葉に残しておきたいと思った。
目の前に浮かび上がっているメール。
思いがけずして、つい今しがた過去から届いた手紙のような風を装っていて。
今わたしが「返信」ボタンを押せば、返信メールを作成することすらできるのに。
それなのに……。
わたしは過去にメールを送る術(すべ)を知らない。
そんな術がある訳もないし、あってはいけない。
常識ある大人なら誰もが知っている「当たり前の事実」が、わたしの心を「これでもか」と締め付ける。
――判っているのだ。
何年も封印していた気持ちが、文字を眺めるたびにムクムクと膨れ上がってあふれ出す。
わたしが苦しむことを、あなたが望んでいないことは重々承知している。
それでも、わたしがあなたを想うたび、わたしの心は悶えてしまう。
一方わたしに為す術は何も残されていなくて、その機会が永遠に失われた現実はとても残酷で。
失恋することすら許されないなんて、これじゃまるで永遠の片想いではないか。
たまらなくあなたに会いたい。
あなたのことばに触れたい。
それが叶わない望みなら、せめて「大好きでした」と、一度でも良いから伝えたい。
そんなささやかな願いすら叶えさせてくれないあなたは、とってもズルい。
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