気まぐれな管理人による雑文サイト。Web小説「Rebirth」連載中 (笑)

人力ナビ 後編 (bell Navigation System)

2017年10月31日  2018年5月10日 
前回のお話はこちら↓
http://bellstown.blogspot.com/2017/10/bell-navi.html

かくして。
静岡県は富士市内の路上にいる彼女が告げる目印を、都内の自宅にいるわたしがGoogle マップで追跡しながらナビする、なんとも無謀な旅が始まった (壮大だな。笑)

渋滞が激しい市街地をいったん迂回させるべく、Google マップを眺めてみると、思いのほか道が判る。
実は富士市は彼女とのデートコースなので、ここ数年の間に何十回と訪問している街だ。
だから地元並みに土地勘がある (笑)

bell: そこのコンビニの角を曲がって

彼女: おっけー♪

bell: 道なりに行くと、こないだお茶したコメダ珈琲があるから

彼女: あー、あそこね♪

bell: そそ。「シノノワール」だっけ? また食べに行こう

彼女: うんうん♪

※「シノノワール」ではなく「シロノワール」です (笑)
http://www.komeda.co.jp/menu/shirono.html(HP)

bell: その辺のホテル、僕が泊まったときに送ってくれたよね

彼女: あの雰囲気がある旅館ね (笑)

bell: んあー、雰囲気あったあった (笑)

そんな話を続けること30分、どうにか富士市街地を抜けて富士宮市に到着した。
イオンモール富士宮付近を左折し、ちょいちょい迷いながらも山道へ誘導する。
富士川を超えたら、あとはひたすら山の一本道を進むだけだ。

彼女: こうやって走ってるとbellちゃんと一緒にドライブしてるみたい (笑)

彼女が楽しそうに弾んだ声で言う。
さっきまで泣きそうな声を出していた人間とは思えない (笑)

他愛ない話をしながら彼女のドライブに付き合いながらも、わたしはけっこう必死に地図を追っかけている。
ちょこちょこ目印を確認しながら地図とにらめっこして、さすがに目が疲れてきた。
山道は登り切り、あとは興津方面への下り道を残すのみ。

――突然、音声が途切れた。
何度か電話をかけ直すが、応答がない。
地図を確認すると、山間の低い場所を通る辺りだ。

10分ぐらいしたら、彼女から電話がかかってきた。
どうやら電波が届かない場所があったらしい。

彼女: もー、わたしダメかと思ったよ (汗)

幸い一本道だったので迷うことはなかったものの、彼女はだいぶ不安だったらしい。
当座は平静を装ったが、わたしもけっこう焦ったし心配した。
姿が見えないのは仕方ないけど、やはり声まで聞こえなくなるのは不安なものだ。

彼女の現在地を確認しているうち、どうやら見慣れた場所に出たらしい。
「おーーーー!」だの「すごーーーい!」だの、彼女はやたら感激していた (笑)
その時点で既に23:30。
本来なら30分で帰れる道のりを、彼女は実に5時間以上かけて帰ったのだ。
※ちなみに由比バイパスの通行止めは23:15頃に解除されたらしい

彼女: ありがとう。bellちゃんが居なかったら、わたし帰ってこれなかったよ。

どういたしまして。
慣れない山道の運転、がんばったね。
僕もたくさん話ができて嬉しかったんだよ。ありがと。

正直なところ、わたしだって、こんな上手にナビができるとは思わなかった。
彼女は富士の路上に居て、わたしは東京の自宅に居る。
それに、なんてったって、わたしは歩行音痴だから (笑)
文明の利器(Google マップとFaceTime)に感謝感激、雨あられである。

彼女と離れて生活していると、してあげられないことの方が多くて、なにかともどかしい思いをする。
でも、離れていてもしてあげられることがあった。
それで彼女が安心を得られて、彼女の役に立てるのであれば、それだけでナビ冥利に尽きるのだ。


--
bell(@bellstown21
いろんなこと書く人。比較的なんでも食べます (笑)
Twitterをフォローしていただければ更新時に呟きます

タグ
人気の投稿