気まぐれな管理人による雑文サイト。Web小説「Rebirth」連載中 (笑)

Rebirth 空っぽな人生

2023年10月22日  2023年10月22日 

2023年10月、日本首都圏の某所

ーー与党カマスのテロ行為に対する報復としてキス地区への地上侵攻が日増しに現実味を……

「あなたたちは戦争の音や戦争の知らせを聞きます」

ーーウクライナへの軍事侵攻によって封鎖されたポーランド国境周辺は混乱を極め……

「動揺しないようにしなさい」

ーー旧博愛教会への解散命令請求が決定され、宗教法人格の剥奪に向けた動きが……

「あなたたちは…私の名のために全ての国の人々から憎まれます」

ーー新型コロナウイルスの猛威は止まりません。中南米を中心に新しい亜種が……

「私は疫病と流血をもってゴグに刑を執行する」


どうやらテレビをつけたまま、ソファでうたた寝していたらしい。
首を直角に曲げた、変な姿勢で寝てしまった。
みっともないことに口の端には涎まで垂らしている。
上下の瞼はのり付けされたように重たく、頭の奥がズキズキ痛む。

どうにか瞼を開いたが、テレビの画面は、ぼやけたままだ。
普段はにこやかなアナウンサーが、険しい表情で夜9時のニュースを読み上げている。
暗いニュースが多く、どの局も同じような報道をくり返しているこの頃だ。

無意識なうたた寝中と言えど、なんとも嫌な言葉を思い出してしまった。
それとも、嫌なニュースを打ち払うため、無意識下で安心感を求めていた?
混濁した考えを振り払うため、勢いよく立ち上がり洗面所へ向かう。

ザバンと顔を洗い、鏡を見つめた。
鏡の中の冴えない中年オヤジが、生気の無い目で僕を見つめ返す。
泣き笑いの中間みたいな形をした唇の端は歪んでいる。

ぞっと背筋が寒くなり「誰だ、おまえ。笑」と、かすれた声が出た。

僕は……何者なんだろう。
なんのため、なぜ生きなければいけないのか。
空っぽだった僕の人生に……なんの価値があるというのか。

それならいっそ。
今この瞬間にでも、天から裁きの火が降りてきて何もかも焼き尽くされてしまえばーー
そんな考えが頭をよぎり、僕は更にぞっとした。

To be continued...
>>次話

お断り:このストーリーはフィクションで、特定の個人や団体を誹謗中傷するものではありません

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bell(@bellstown21
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